外国人介護職に家賃補助!仙台市の企業支援

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ヨロワーク編集部

「ヨロワーク」外国人採用ブログは、外国人実習雇用士の監修の下、外国人材の採用に関する情報を配信しています。最新動向や在留資格情報、文化の特徴、成功事例等の外国人採用の可能性と魅力をお伝えしています。

介護業界の人手不足が深刻化する中、仙台市が外国人介護人材を採用する事業者向けの支援策「外国人材宿舎借り上げ等支援補助金」を開始しました。

これは、事業者が負担する外国人スタッフの家賃の一部(月最大2.5万円)を補助するもので、人材確保と定着を後押しします。

本記事では仙台市の支援内容に加え、長野県や千葉県印西市など、他の自治体での類似の取り組みも紹介し、外国人採用の可能性を探ります。

深刻化する介護現場の人手不足と外国人材への期待

日本全国で少子高齢化が進行し、多くの産業で人手不足が課題となっていますが、特に介護業界における人材不足の深刻度は増しています。

厚生労働省のデータを見ても、医療・福祉分野における外国人労働者数は近年大幅に増加しており、現場を支える上で外国人材への期待はますます高まっています。

特定技能、技能実習、EPA(経済連携協定)、そして在留資格「介護」など、様々な制度を通じて来日した外国人介護スタッフは、今や日本の介護サービスを維持・向上させる上で不可欠な存在となりつつあります。

しかし、外国人材を受け入れる事業者にとっては、採用コストに加え、住居の確保や生活支援などが負担となるケースも少なくありません。こうした課題に対応するため、国だけでなく、地方自治体レベルでも独自の支援策を打ち出す動きが活発化しています。

仙台市の支援!「外国人材宿舎借り上げ等支援補助金」とは?

そのような中、仙台市は、市内の介護現場における人材確保と定着を支援するため、「仙台市外国人材宿舎借り上げ等支援補助金」制度を開始しました。

この制度の主な目的は、外国人介護人材を受け入れる介護サービス事業者が、外国人のために住居を借り上げたり、家賃補助を行ったりする際の経済的負担を軽減することです。

これにより、事業者がより積極的に外国人材を採用し、採用後も安心して働き続けてもらえる環境を整えることを後押しします。

仙台市では市内人口の約7%が外国籍住民であり、多文化共生を進める上でも重要な施策と位置づけられています。

補助の対象は?金額や条件をチェック

仙台市のこの家賃補助制度について、具体的な内容をご紹介します。

補助対象事業者
仙台市内で介護サービス事業を行う法人(市内に本部があること、市税滞納がないこと等が要件)。

補助対象となる外国人材
以下のいずれかの在留資格を持ち、市内の対象事業所で介護業務に従事する外国人スタッフ。

  • 在留資格:「介護」、「特定技能(介護分野)」、「技能実習(介護職種)」、「特定活動(EPA等)」、「留学(週20時間以上介護事業所で就労)」など。
  • 継続雇用期間が雇用開始年度の初日から3年を超えない者。
  • 過去にこの補助金の対象になったことがない者。

補助対象経費
事業者が負担する外国人材の住居の家賃及び共益費(管理費)。

  • 事業者が住居を借り上げて提供する場合の家賃負担分。
  • 外国人材本人が契約している住居に対し、事業者が家賃補助を行う場合の補助額。
  • ただし、家賃等の月額上限は5万円(税抜)。敷金・礼金、更新料などは対象外。事業者やその関係者が所有する物件も対象外。

補助金額
対象経費(上限5万円/月)の2分の1。つまり、外国人材1名あたり月額最大2万5千円が補助されます。

補助期間
補助開始月から、外国人材1人あたり連続する12ヶ月が上限です。(※ 正確な期間は最新の公式情報をご確認ください)。

申請上限
1法人あたり、同一年度内に申請できるのは3部屋分まで。

申請タイミング
外国人材が入居した時点から申請可能。原則として、最初の補助対象月の家賃支払い日等より前に交付決定が必要(早めの申請・相談推奨)。
※令和7年度からは申請書類への押印不要、メール申請も可能に。

この制度を活用することで、例えば月5万円の家賃の部屋を外国人スタッフ用に用意し、会社が2万円の家賃補助を行う場合、その半分の1万円が市から補助される計算になります。

参考:仙台市外国人材宿舎借り上げ等支援補助金について|仙台市

全国でも広がる動き

仙台市のような外国人介護人材への居住支援は、他の自治体でも見られます。
ここではいくつかの例をご紹介します。

長野県「外国人介護人材住居借上支援事業」

県内の介護サービス事業者が外国人介護人材用に住居を借り上げる費用を支援。
補助額は、事業者の家賃負担額(家賃から居住者負担分を引いた額)の1/2以内で、1人あたり月額上限1万5千円、1事業所あたり年間上限20万円。

参考:長野県外国人介護人材住居借上支援事業の実施について/長野県

千葉県印西市「外国人介護人材家賃補助金」

市内の介護事業所が外国人介護職員(介護、特定技能、技能実習、EPAが対象)に家賃手当を支給する場合に、その費用の一部を補助。

補助額は法人が手当てした額の1/2以内で、1戸あたり月額上限2万5千円。補助期間は1人あたり12ヶ月が限度。
参考:印西市ホームページ

これらの情報は変化する可能性があるため、自社が所在する、あるいは進出を検討している自治体の最新情報を確認することが重要です。

自治体支援を追い風に!外国人採用を前向きに検討するヒント

仙台市をはじめとする地方自治体による外国人介護人材への支援強化は、人材不足に悩む企業にとって大きなチャンスです。

これらの支援策は、以下のようなメリットをもたらします。

1.コスト負担の軽減
家賃補助や研修費補助などは、外国人材の受け入れに伴う企業の経済的負担を直接的に軽減します。
これにより、採用へのハードルが下がり、より多くの人材を受け入れる余力が生まれます。

    2.定着率の向上
    住居支援や日本語学習支援、資格取得支援などは、外国人材が日本で安心して働き、キャリアを築いていく上で非常に重要です。
    自治体のサポートがあることで、定着率の向上が期待できます。

    3.採用競争力の強化
    自治体の支援制度を活用できることは、求職者である外国人材にとっても魅力となります。
    手厚いサポート体制があることをアピールできれば、他社との採用競争において有利になる可能性があります。

    4.地域社会への貢献
    自治体の支援策を活用して外国人材を積極的に受け入れ、活躍を支援することは、地域社会の活性化や多文化共生の推進にも繋がります。

    外国人採用を検討する際には、国の助成金(キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金など)と合わせて、事業所が所在する地方自治体独自の支援制度がないか、積極的に情報収集することをお勧めします。

    そして、これらの支援制度を活用するためには、まず適切な外国人材を見つけることが第一歩です

    ヨロワーク」のような外国人材に特化した求人プラットフォームは、介護分野で活躍を希望する多様な在留資格を持つ外国人材と企業を結びつけるお手伝いができます。

    自治体の支援情報と合わせて、採用戦略に組み込むことを検討してみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    仙台市が開始した外国人介護人材への家賃補助制度は、深刻化する介護現場の人手不足に対応し、多文化共生社会を推進するための重要な一歩です。

    そして、長野県や千葉県印西市など、全国の多くの自治体でも、家賃補助といった形で、外国人材、特に介護分野で働く人々へのサポートが手厚くなっています。

    これは、外国人材が日本社会にとって不可欠な存在であり、外国人が安心して働き、生活できる環境を整えることが、地域社会全体の持続可能性に繋がるという認識が広がっていることの表れでしょう。

    外国人採用を検討している、あるいは既に雇用している企業の皆様にとって、これらの自治体による支援制度は、コスト負担の軽減だけでなく、人材の確保・定着を進める上で強力な追い風となります。

    人手不足という課題を乗り越え、多様な人材と共に事業を発展させていくために、国(厚生労働省)の助成金と併せて、ぜひお近くの自治体が提供している支援策にも目を向け、積極的に活用を検討してみてください。

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