シャトレーゼで特定技能の給与未払い!会社都合待機で改善命令

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ヨロワーク編集部

「ヨロワーク」外国人採用ブログは、外国人実習雇用士の監修の下、外国人材の採用に関する情報を配信しています。最新動向や在留資格情報、文化の特徴、成功事例等の外国人採用の可能性と魅力をお伝えしています。

近年、人手不足解消の切り札として特定技能外国人の活用が進んでいます。

しかしその裏で、会社都合による待機期間中の「特定技能の未払い」問題が起き、企業に対して改善命令が出されるケースがありました。

外国人雇用は、日本人採用と同じ感覚で行うと思わぬ法的リスクを抱える可能性があります。

そこで、本記事では、最新の事例を基に「なぜこのような問題が起こるのか」という視点で企業が遵守すべき法律、そして問題を未然に防ぎ、外国人材が活躍できる環境を整備するための具体的な対策について詳しく解説します。

特定技能外国人への給与未払いで企業に改善命令

最新事例:シャトレーゼで起きた待機期間の給与支払い

洋菓子メーカーのシャトレーゼは、特定技能外国人に対し、会社側の都合で就労を開始できない「待機期間」が生じたにもかかわらず、適切な給与(休業手当)を支払っていなかったとして、企業に対して出入国在留管理庁から改善命令が出された事例が2025年5月に報道されました(※1)。

このケースでは、企業側が特定技能外国人を受け入れたものの、工場の建設が当初の計画より遅れたことなどから業務開始も遅れ、その間の給与支払いを怠ったことが問題視されています。

特定技能制度においては、外国人労働者が安定して日本で生活し、働くことができるよう、雇用する企業側に様々な責務が課せられています。

その一つが、会社都合で労働者を休ませる場合の給与保証です。

(※1) 参考:外国人労働者 会社都合待機で給与や手当未払い シャトレーゼに改善命令 出入国在留管理庁 | NHK

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企業が見落としがちな「休業手当」の概念

日本の労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定められています。

これは、外国人労働者であっても当然に適用されます。

今回の事例のような「会社都合による待機」は、まさにこの「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する可能性が極めて高く、企業は待機期間中であっても、外国人労働者に対して最低でも平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があったと考えられます。

なぜ「特定技能の未払い」問題が起きたのか?

「働いていないから払わない」は通用しない日本の法律

今回起きた「特定技能の未払い」問題は、一部の企業における外国人雇用に関する法知識の不足や、安易な認識があると考えられます。

「まだ実際に働いていないのだから、給与を支払う必要はない」という考えは、日本の労働法規上、通用しません。

特に、雇用契約が成立し、労働者が働く意思と能力を持っているにもかかわらず、企業側の都合で業務に従事できない場合は、労働者の生活を保障する観点から給与(休業手当)の支払い義務が生じます。

日本人採用と同じ感覚が招く大きな落とし穴

もう一つの大きな要因は、外国人雇用を日本人採用と同じ感覚で捉えてしまうことです。

外国人労働者の受け入れには、労働基準法だけでなく、出入国管理及び難民認定法(入管法)や特定技能制度特有のルールが複雑に絡み合ってきます。

例えば、特定技能外国人の場合、企業は安定的な雇用の確保や、生活支援に関する計画書を入国管理局に提出し、認定を受ける必要があります。

安易な解雇や、不当な待機は、これらの計画に反する行為と見なされ、指導や改善命令の対象となるだけでなく、今後の外国人受け入れにも影響を及ぼす可能性があります。

2024年から指摘されていたシャトレーゼ給与未払い問題

ヨロワークでも以前、シャトレーゼが特定技能外国人の待機期間中の処遇について指摘を受けた事例を紹介しました(※2)。

(※2)参考: シャトレーゼ、外国人労働者を無給で待機させた問題が浮き彫りに

当時問題となった待機者数は88名となっていましたが、今回明らかになった待機者総数は約2倍となる160名に増加しており、長い人で4か月分の未払いがありました。

これは、企業側が外国人雇用の法的リスクや責任の重さを十分に認識できていなかった可能性があります。

外国人雇用で企業が遵守すべき法的義務とは

外国人材を雇用する企業は、主に以下の法律を遵守する必要があります。

労働基準法:国籍を問わず適用される労働者の権利

労働時間、休日、賃金、解雇など、労働者の基本的な権利を定めた法律です。国籍に関わらず、日本国内で働くすべての労働者に適用されます。

最低賃金の遵守、時間外労働の適切な管理、そして前述の休業手当の支払いなどが含まれます。

入管法と特定技能制度:特有のルールと企業の責務

外国人が日本に在留し、就労するためのルールを定めた法律です。

特定技能ビザで働く外国人を雇用する場合、企業は入管法および特定技能制度に基づき、適切な雇用契約の締結、1号特定技能外国人支援計画の作成・実施、各種届出義務などを負います。

これらの義務を怠ると、指導や罰則の対象となるだけでなく、企業の信頼性も大きく損なわれます。

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健全な外国人雇用を実現するために

このような「特定技能の未払い」といったトラブルを未然に防ぎ、外国人材が安心して能力を発揮できる環境を整えるためには、企業は何をすべきなのでしょうか。

正しい知識の習得と受け入れ体制の整備

まず最も重要なのは、経営者や人事担当者が、労働基準法や入管法、特定技能制度に関する正しい知識を習得することです。

不明な点や曖昧な点は放置せず、専門機関に確認するなどして理解を深める努力が求められます。

また、住居の確保や生活オリエンテーションなど、外国人材がスムーズに日本での生活をスタートできるような受け入れ体制の整備も不可欠です。

雇用契約書と就業規則の明確化

労働条件、特に給与(基本給、諸手当、休業手当の規定など)、労働時間、休日、業務内容などを明記した雇用契約書を、外国人が理解できる言語で作成し、双方合意の上で締結することが重要です。

また、就業規則も整備し、外国人従業員にも周知徹底する必要があります。

外国人従業員との丁寧なコミュニケーション

言語や文化の違いから生じる誤解を防ぐためにも、外国人従業員との日常的なコミュニケーションは非常に大切です。

定期的な面談の実施や、相談しやすい窓口の設置など、外国人が抱える不安や疑問を早期に把握し、対応できる体制を構築しましょう。

最新の法改正にも対応していく必要性

外国人雇用に関する法令や制度は、社会情勢の変化に合わせて頻繁に改正されます。
そのため、外国人雇用には専門的な知識と細やかな対応が不可欠です。

自社だけで全てをカバーしようとすると、気づかぬ内に法的なリスクを抱えてしまうことも少なくありません。

そこで、「ヨロワーク」のような外国人雇用をサポートする企業に協力してもらうことで、自社の負担を軽減することができます。

外国人向け求人掲載サービスの「ヨロワーク」では、既に在留資格を保有している日本に住む外国人のみが登録しています。

そのことから、外国から呼び寄せるなどの高額な費用や煩雑な手続きがなく、外国人を雇用することができます。

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まとめ

今回は、特定技能外国人の会社都合待機における給与未払い問題と、企業の改善命令事例を基に、外国人雇用における注意点と対策について解説しました。

外国人雇用は、単に人手を補うというだけでなく、多様な価値観を取り入れ、企業を成長させる大きなチャンスとなり得ます。

しかし、そのためには関連法規を正しく理解し、適切な受け入れ体制を整えることが大前提です。
「知らなかった」では済まされないのが法律です。

今回のような「特定技能の未払い」といった問題を起こさないためにも、外国人雇用に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にヨロワークまでお問い合わせください。