コラム

外国人フリーランスと業務委託契約はできる?在留資格(ビザ)や税金、源泉徴収も解説

フリーランスという働き方が社会的に普及し、フリーランスという言葉に聞き馴染みがある人も多いのではないでしょうか。IT関連会社でエンジニア、英会話スクールで講師など、業務委託契約で幅広く活躍する外国人労働者は増加傾向にあります。
本記事では、外国人フリーランスと業務委託契約を結ぶ際に押さえておくべきポイントや注意点について解説します。

外国人もフリーランスとして業務委託契約ができる

外国人も業務委託契約を通じてフリーランスとして日本で働くことが可能です。外国人の場合、在留資格(就労ビザ)を取得することが必要ですが、「フリーランス」専用のビザは存在せず、職務内容に応じたビザを選択する必要があります。

該当の在留資格(就労ビザ)に関しては、後述します。

ただし、外国人がフリーランスとして働く際には多くの注意点が存在します。社会保険や税金、そして在留資格(ビザ)に関する事項を見落とさないように注意が必要です。

外国人フリーランスと業務委託契約する企業側の注意点

外国人フリーランスと業務委託契約する企業側の注意点を3つ紹介します。

①責任の重要性と契約書
業務委託契約であっても、企業は契約した外国人フリーランスに対して責任を持つ必要があります。これは雇用契約と同様に重要で、業務の品質や成果に対する責任を明確に定義し、契約書に適切に記載することが必要です。責任を明確にすることで、トラブルや紛争を未然に防ぐことができます。

契約の際には、必ず書類を作成してください。外国人の中には、日本語で記載された契約書を理解するのが難しい場合があります。その際は、補足として採用者の母国語に翻訳した内容を添付することで、契約時の認識の違いやずれが生じるのを未然に防ぐことができます。社内に翻訳できる担当者がいない場合、外部に翻訳依頼を出すか、翻訳ツールを利用することをおすすめします。

②在留資格の確認
契約を結ぶ前に、外国人フリーランスの在留資格を確認することが非常に重要です。日本での働き方に適したビザを持っていることを確認し、契約がそのビザの範囲内で行われることを確保する必要があります。在留資格に違反する契約を結ぶことは法的な問題を引き起こす可能性があります。

③公平な契約条件
外国人であることを理由に、不当に低い契約条件を提案することは避けるべきです。外国人フリーランスにも公平で競争力のある報酬と労働条件を提供するべきです。差別的な取り扱いや不当な条件を課すことは法的問題となる可能性があり、企業の評判や法的責任に影響を及ぼす可能性があります。

外国人フリーランスとの契約においては、法的アドバイスや専門家の助言を受けることも重要です。また、契約書を十分に詳細かつ明確に作成し、両当事者の権利と義務を保護するために注意深く取り組むことが必要です。

外国人フリーランスとして働く外国人側の注意点

外国人フリーランスとして働く企業側の注意点を5つ紹介します。

①短期間の契約に注意
短期間の契約を受ける場合、契約が終了した後のビザの更新に影響を及ぼす可能性があるため、慎重に考える必要があります。ビザの更新には一定の収入が必要な場合があるため、長期的な計画を立てることが重要です。

②年収が低い場合の影響
年収が低い場合、在留資格の更新に影響を及ぼす可能性があります。外国人は、ビザの更新時に収入要件を満たす必要がある場合があります。そのため、収入を適切に管理し、必要な条件を満たすように心がけることが重要です。

③契約書の重要性
契約書は口頭での合意だけではなく、契約の詳細を文書化する重要な手段です。契約書には仕事の範囲、報酬、期間、終了条件などが明記されるべきです。契約書を交わすことで、紛争を防ぎ、法的な保護を受けることができます。

④経営・管理ビザの可能性
自身の業務が規模的に大きい場合、日本の「経営・管理」ビザが適用される可能性があります。このビザは、企業を経営または管理するためのもので、特定の条件を満たす場合に取得できます。ビザの種類を適切に選ぶことが大切です。

⑤契約のない期間の制限
在留資格を保つためには、無職期間が最大でも3ヶ月までに制限されています。つまり、契約を終了した後は一定期間内に新たな仕事または契約を見つける必要があります。無職期間が長引くと在留資格の更新に影響を及ぼす可能性があるため、計画的に行動することが大切です。

⑥「資格外活動許可」の申請が必要な場合
すでに就労ビザを持っている外国人で、委託したい業務内容が本人の取得している在留資格の範囲外の場合、資格外活動許可の申請をする必要があります。出入国在留管理庁の公式HPによると、資格外活動許可とは「現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可」であるとされています。資格外活動許可の要件には、在留資格の範囲内で行っている本来の仕事や活動が妨げられないこと、他の在留資格で認められている範囲内の内容であることが求められます。

外国人フリーランスとして日本での仕事を始める前に、ビザの要件や法的事項について十分な理解を持ち、適切なアドバイスを受けることが大切です。また、日本の就労環境や税制についても調査し、準備を行うことが成功の鍵となります。

外国人フリーランスの在留資格(ビザ)

在留資格取得の条件に「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」ことがあり、この契約には雇用契約の他にも委任や委託も含まれます。ただし、特定の機関との継続的な契約があることが条件で、継続的な契約であれば複数社と契約があっても問題はありませんが、単発の仕事の場合は認められません。

また、「身分・地位にもとづく在留資格」に該当する「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」であれば、フリーランスとして働くために改めて在留資格を取得する必要はありません。「身分・地位にもとづく在留資格」の最大の特徴として就労制限がないことが挙げられ、日本人と同様に働くことができます。

外国人フリーランス・業務委託契約の注意点

外国人フリーランスが活躍している職種

日本国内で外国人フリーランスが多く活躍している職種を紹介します。

①英会話などの外国語教師

外国人フリーランス外国語教師は、英語や他の外国語を日本人や日本在住の外国人に教える役割を果たします。これには会話クラス、文法レッスン、ビジネス英語の指導などが含まれます。多くは個人レッスンやオンライン教育プラットフォームを活用して教育を提供します。

②翻訳・通訳

翻訳者は、外国語から日本語への文章や文書の翻訳を行います。通訳者は、リアルタイムで言葉を翻訳し、会議やイベントでコミュニケーションを円滑にする役割を果たします。ビジネスコミュニケーション、法律、医療、エンターテイメントなど、さまざまな分野で活動しています。

③デザイン・クリエイティブ

 グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、イラストレーターなどのクリエイティブ職種では、外国人フリーランスが多くのプロジェクトに参加しています。クライアントからの依頼に応じて、ロゴデザイン、ウェブサイトの制作、広告キャンペーン、イラストなどを制作します。

④エンジニアなどIT関連の仕事

 IT関連のフリーランスは、プログラム開発、ウェブ開発、データベース管理、システム管理などの仕事に従事します。外国人エンジニアは、ソフトウェア開発プロジェクトやITインフラストラクチャの構築・管理を担当し、技術的な専門知識を提供します。

⑤ライティング・コンテンツ制作

フリーランスライターやコピーライターは、記事執筆、広告コピーの作成、ブログ投稿、翻訳など、多様なライティングタスクに携わります。特に多言語対応のコンテンツ制作が求められ、クリエイティブなライティングスキルが必要です。

まとめ

基本的な在留資格の知識を把握しておくことで、外国人フリーランスとの業務委託契約はスムーズに進められます。また、契約前に事前に社内で業務内容や報酬について正しく取り決め体制を整えておく必要があります。委託者は必要なときに優秀な人材に仕事を依頼できるため、外国人フリーランスを雇い仕事を効率化しましょう。

外国人フリーランス・業務委託契約に関する知識
加地 志帆 /外国人実習雇用士

この記事を書いた人

加地 志帆 /外国人実習雇用士

2019年にYOLO JAPANに入社し、外国人ユーザーの満足度向上を目指し、特にSNSを通じたプロモーション活動を担当。その経験を通じ現在は、企業が外国人採用をスムーズに進められるようヨロワークのウェブサイトにて情報発信。具体的には、外国人採用プロセスの支援、異文化理解を促進するコンテンツの提供。 2023年11月には外国人実習雇用士の資格を取得。企業と外国人が共存できる社会を目指すため外国人採用の知識を深めている。

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