コラム

ネパール人の仕事観や働く理由をわかりやすく解説!雇用・採用の際に知っておきたいこと

標高8,848mのエベレストを国土に持つネパール(首都カトマンズ)は中国の南部に位置しています。ネパールは、世界で唯一四角形でない国旗でも有名です。国民性に関しては、実は同じアジアということもあってか、日本人と似ている箇所があるとも言われています。一方、一緒に働くにあたっては日本と仕事観の違いがあるようです。ネパール人の労働環境や国民性を紐解きながら、この記事でその違いを覗いてみましょう。

ネパールの基本情報

日本国内にいるネパール人は、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジルに次ぐ6番目に多い、外国人です。

2022年6月の『令和4年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁』によると、125,798人で昨年よりも約30%増加し、日本国内にいる外国人の約4%がネパール人です。

ネパール人の在留資格を見てみると、「留学」が44,358人で日本にいるネパール人の2割強を占めています。次に多いのが、技人国、永定配です。

在留資格別ネパール人の人数

日本在住の全ネパール人:125,798人(100%)

  • 永定配:8,186人(約6.51%)
  • 技人国:24,127人(約19.18%)
  • 特定技能:1,401人(約1.11%)
  • 技能実習:822人(約0.65%)
  • 留学:44,358人(約25.70%)
  • その他:46,904人(約37.29%)

(参考)令和4年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

日本に出稼ぎに来る理由

日本は現在、多くのネパール人労働者を受け入れています。ネパールの人々は、日本を含む海外での労働を通じて生計を立てており、その背後には農林水産業を中心とする経済構造が影響しています。外務省の「ネパール基礎データ」によれば、労働者の64%が農林水産業に従事しています。

では、なぜネパール人は日本を出稼ぎの目的地として選ぶのでしょうか?実際、500万人以上のネパール人が海外で働いており、その多くは隣国のインドで働いています。他の選択肢としてはマレーシアや中東が挙げられます。しかし、日本が選ばれる背後にはいくつかの重要な理由があります。まず第一に、日本の治安の良さが挙げられます。出稼ぎの過程で高額の仲介料が課されたり、一時的な就労が禁止されるなどの問題が起きた経緯を考えると、治安の安定した国を選ぶことは理にかなっています。

さらに、日本の労働環境における高待遇も、ネパール人が日本を選ぶ大きな要因です。国際労働財団によると、ネパールの平均月収は約14,000円に過ぎません。その一方で、日本で働くネパール人労働者は、高い給与を得ることができるため、家族に送金し、豊かな生活を提供できる可能性に期待を寄せています。このため、ネパール人労働者は、異なる職種に従事しつつも、その待遇に感謝し、一生懸命働いています。

ネパール人が日本を出稼ぎ先として選ぶ背後には、労働環境の魅力に加えて、ネパールが日本に対して親近感を抱いているという要素も挙げられます。外務省の情報によれば、日本からネパールへの経済援助額は、世界でイギリスに次ぐ第2位となっており、経済的な支援を多く提供していることが明らかです。また、同じアジア地域に位置し、勤勉な日本人に対する尊敬の念を抱くネパール人が多いとも言われています。ネパール大使館のウェブサイトにアクセスすると、日本人とネパール人の交流イベントが頻繁に開催されていることがわかります。

このように、ネパール人は日本に対して感謝と敬意をもっており、日本を出稼ぎの目的地として選ぶ多くの理由が存在します。ネパール人労働者の雇用主は、働く環境をより良くし、彼らが心地よく労働できるよう努力するべきです。

ネパール人の仕事観や特性

ネパール人の仕事観や特性は、個人によって異なることがありますが、ここからは、一般的なネパール人の仕事観や特性について詳しく説明します。

  1. 勤勉さと責任感
    ネパール人は一般的に勤勉で責任感があります。仕事に対して真摯に取り組む姿勢が一般的であり、納期を守ることや仕事を完遂することに誇りを持ちます。これはネパール文化の一部としても根付いています。
  2. 家族重視
    多くのネパール人は家族を非常に大切にし、家族のために働くことを重要視しています。出稼ぎ労働者として他国に働きに行くことが一般的であり、家族への経済的支援が主要な動機の一つです。このため、家族への送金やサポートが優先されることがあります。
  3. 礼儀正しさ
    ネパール文化では礼儀正しさが重要視されており、仕事場でも他人に対して敬意を払うことが一般的です。上司や同僚に対して尊重の念を示すことが期待されます。
  4. 集団志向
    ネパール社会は集団志向が強く、協力やチームワークが重要視されます。仕事場での協力や他人との調和を重要視し、対人関係を円滑に保つことが目指されます。

ネパール人の仕事観や特性は、文化や個人のバックグラウンドによって異なることがありますが、上記の特性は一般的な傾向として挙げられます。これらの特性を理解し、尊重することは、ネパール人との協力や労働関係の構築に役立つでしょう。

ネパール人雇用

ネパール人雇用時におけるポイント・注意点

このような理由から、日本で働く際に活躍してくれる要素が溢れているネパールの方々ですが、上述したように若干の仕事観の違いもあります。ネパール人雇用において、抑えておくべきポイントを見てみましょう。

①宗教が異なる

インドなどと宗教構成が似ており、ヒンドゥー教を国民の多くが信仰しています。「牛肉を食さない」ということが文化として染み付いている以上、飲食業の人事の皆さんは覚えておいてください。また、ヒンドゥー教でなくとも何かしらの宗教を信仰しているネパール国民が多いことから、宗教上の理由で仕事を休むことがあるかもしれません。その点も考慮しておくのが良いでしょう。彼らの信仰している宗教に対しての尊重の気持ちを忘れないでください。

②のんびりとした国民性

これはネパールに限ったことではありませんが、日本人が時間や締め切りをきっちり決めて日常業務をこなしている一方で、ネパール人労働者はのんびりしているケースがあるかもしれません。これは、ネパール国内で就労人口の半数以上が農業に従事していることが大きな理由だと考えられます。タイムスケジュールが分刻みで設定されることもある日本の会社では、ネパール人労働者は労働開始直後は戸惑ってしまうはずです。ですが、これは生まれ育った文化が少し異なるだけですので人事の皆さんが日本のビジネス文化を含め一度教えてあげれば、日本で働くことに憧れを抱いて来日したネパール人労働者も順応してくれることでしょう。
勿論、個々人によって差はありますがこの2点を是非覚えておいてください。

日本で活躍するネパール人の主な職種・仕事内容

ネパール人は、日本でさまざまな職種で活躍しています。ここでは、主な仕事内容を紹介します。

  1. 建設
    建設現場での仕事を主に行います。コンクリートの打設、土木工事、建物の建設、解体作業、足場組みなど、建設プロジェクトにおいて体力を駆使した作業に従事します。
  2. 介護職
    介護施設や老人ホームで、高齢者の日常生活支援を行います。入浴介助、食事サポート、移動支援、身の回りの世話など、高齢者のケアに携わります。
  3. ホテル・レストラン業
    ホテルやレストランでの職種は多岐にわたります。ネパール人はシェフとして料理を提供し、ウェイターやウェイトレスとしてサービスを行います。ネパール料理レストランの経営者としても成功する人もいます。
  4. 農業
    一部のネパール人は農業で働き、農作業、野菜や果物の収穫、農産物の生産に従事します。これは主に地方の農村地域で行われます。
  5. 製造業
    工場での製造業務を担当するネパール人も多くいます。製品の組み立て、梱包、検査、製造ラインでの作業など、製造業において手腕を発揮します。

これらの職種は一般的なネパール人の職業の例であり、ネパール人労働者は日本社会において幅広い分野で活躍しています。日本での労働力として、さまざまな職種でのスキルと貢献が高く評価されています。

まとめ

このように、ネパール人労働者にはたくさんの魅力があります。日本に憧れを持って来日した彼らの生活を日本で雇用することによって後押しできれば、Win-Winの関係が築けるに違いありません。最後に紹介した、2つのポイントを忘れなければきっと、職場で採用した・採用する予定のネパール人は活躍してくれることでしょう。

加地 志帆 /外国人実習雇用士

この記事を書いた人

加地 志帆 /外国人実習雇用士

2019年にYOLO JAPANに入社し、外国人ユーザーの満足度向上を目指し、特にSNSを通じたプロモーション活動を担当。その経験を通じ現在は、企業が外国人採用をスムーズに進められるようヨロワークのウェブサイトにて情報発信。具体的には、外国人採用プロセスの支援、異文化理解を促進するコンテンツの提供。 2023年11月には外国人実習雇用士の資格を取得。企業と外国人が共存できる社会を目指すため外国人採用の知識を深めている。

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