コラム

技能実習から特定技能にビザ移行するための手続き方法と注意点

技能実習制度は、外国人が日本で技術や知識を身につけて母国の発展に貢献するための制度です。技能実習の在留資格があれば、最長5年間日本に滞在することができますが、特定技能の在留資格に移行するとその後も在留可能となります。そこで本記事では、技能実習から特定技能にビザを移行する際の注意点や手続きについて解説します。

技能実習から特定技能へのビザ移行について

技能実習と特定技能の違い

技能実習は、新興国からの労働力を受け入れて、彼らに技術と知識を提供し、彼らがそれを本国に持ち帰って経済発展に貢献する「国際協力」の目的を持っています。技能実習生は日本で技術を学ぶ機会を提供されますが、受け入れの際には日本語能力や技能水準の高さは必要ありません。

一方、特定技能制度は、日本の中小企業などでの労働力不足の解消を目指し、一定の専門性と技能を持つ外国人を「即戦力」として受け入れるための制度です。特定技能者を受け入れる際には、特定産業分野に関する技能水準試験が行われます。

また、技能実習と特定技能にはそれぞれ留学期間が設定されています。技能実習生は、在留資格を1号から3号に移行させることで、最長5年間日本に滞在できます。ただし、移行には技能評価試験に合格する必要があり、場合によっては在留期間が1年に制限されることもあります。一方、特定技能者1号は最大5年間、2号に関しては上限が設けられておらず、長期間にわたって日本に滞在できます。

ビザ移行の条件

技能実習から特定技能へビザを移行することは可能です。ただし、無条件に認められるわけではありません。技能実習2号の良好修了者であり、技能実習を実施した職種が、特定技能の対象職種・受け入れ先企業の業種と関連していることが求められます。特定技能の対象職種は以下の12分野(14種類)です。

(1)介護
(2)ビルクリーニング
(3)素形材産業
(4)産業機械製造業
(5)電気・電子情報関連産業
(6)建設業
(7)造船・舶用工業
(8)自動車整備業
(9)航空業
(10)宿泊業
(11)農業
(12)漁業
(13)飲食料品製造業
(14)外食業

なお、本来特定技能の在留資格を取得するためには、業種別の技能試験と日本語能力試験に合格していることが必要となります。上述した条件を満たすことで、2つの試験が免除される形になっています。

技能実習から特定技能へのビザ移行時の注意点

技能実習から特定技能へのビザ移行時の注意点

ここからは、ビザ移行時の注意点を紹介します。

ビザ以降以外の注意点として「賃貸基準」に関しては、下記の記事をご覧ください。

技能実習生時代に納税・届出義務を守っていたかの確認が必要

技能実習生にも所得税や住民税の支払い義務があります。また、必要な各種届出の義務も守らなくてはいけません。もし未納の税金があったり、届出義務を怠っていたりした場合、技能実習から特定技能への在留資格申請においてマイナス要素となってしまいます。故意に義務を守らなかったわけではなく、ただ知らなかったというケースもあるかもしれませんが、どちらにせよ不利になってしまうことに変わりはありません。ビザ移行の際には、事前に不備がないか確認しておきましょう。
もし未納や届出の出し忘れがあれば、申請前に納税する・届出ができなかった理由を入管に説明するなど対応しておきましょう。

特定技能にビザ移行することで転職が可能になる

技能実習から特定技能へのビザ移行の注意点として、外国人労働者が転職してしまう可能性があることが挙げられます。技能実習生は、受け入れ先の企業に不正があったケースなどを除き、原則として転職することができません。2020年4月から新型コロナウイルスの影響により、企業の経営状況悪化で技能実習が不可能となったケースや、帰国困難となったケースにおいて実習生の転職が可能となりましたが、あくまで限定的なものです。その点、特定技能では転職が認められています。日本人労働者と比べるとハードルは高くなりますが、転職の可能性があるということは把握しておきましょう。

技能実習から特定技能へのビザ移行手続き

技能実習から特定技能へのビザ移行手続き

ビザ移行に必要な書類

技能実習から特定技能へ移行するには、在留資格変更許可申請の手続き(ビザの切り替え)を行う必要があります。申請に必要となる代表的な書類を紹介します。

  • 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
  • 在留資格変更許可申請書
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書
  • 特定技能雇用契約書の写し
  • 雇用条件書の写し
  • 健康診断個人票
  • 写真
  • 申請人のパスポート及び在留カードの提示


これ以外にも様々な書類の提出が必要となります。出入国在留管理庁が公開している提出書類一覧を必ず確認の上、受け入れ予定日の3~4か月前から準備しておきましょう。

技能実習から特定技能へのビザ移行準備

提出は地方入国在留管理局へ

書類が揃ったら、地方入国在留管理局へ提出します。提出書類をもとに審査が進められ、許可を受けるまで1~2か月ほどかかります。追加で書類を求められるケースもありますので、臨機応変に対応しましょう。

まとめ

技能実習と特定技能はどちらも外国人のための在留資格ですが、目的や在留期間に違いがあります。職種等の条件を満たせば技能実習から特定技能へのビザ移行は可能で、移行によって企業の人手不足をより補うことができたり、長く働いてもらうことができたりといったメリットがあります。申請の際の注意点や手続きの方法について理解し、スムーズに移行を進めてください。

加地 志帆 /外国人実習雇用士

この記事を書いた人

加地 志帆 /外国人実習雇用士

2019年にYOLO JAPANに入社し、外国人ユーザーの満足度向上を目指し、特にSNSを通じたプロモーション活動を担当。その経験を通じ現在は、企業が外国人採用をスムーズに進められるようヨロワークのウェブサイトにて情報発信。具体的には、外国人採用プロセスの支援、異文化理解を促進するコンテンツの提供。 2023年11月には外国人実習雇用士の資格を取得。企業と外国人が共存できる社会を目指すため外国人採用の知識を深めている。

外国人採用ならヨロワーク

外国人材の採用は、ビザの制度や手続き、外国人特有の採用方法、職場への受け入れなど、初めての場合はわからないことが多くて不安ではないでしょうか?

ヨロワークは2,400社以上の導入実績があり、専門スタッフが求人掲載から応募、面接までのサポートも行っているため、初めて外国人を採用する方も安心してお任せいただけます。


まずは資料をご覧になりたい方は、下のボタンからご連絡ください。


関連記事

TOP