コラム

「やさしい日本語」とは?外国人にわかりやすく日本語を伝える方法を解説

外国人観光客や労働者の増加に伴い、やさしい日本語の重要性がますます高まっています。やさしい日本語を理解し、活用することで、コミュニケーションがスムーズになり、文化や言語の壁が低くなります。本記事では、外国人を支援するためのやさしい日本語の活用方法について説明します。

やさしい日本語とは

「やさしい日本語」とは、相手の理解力を考慮に入れながら、難解な表現を簡単な言葉に置き換えることなど、わかりやすい日本語のことを指します。

これは、日本語の美しさと多彩さを尊重し、外国の方々や高齢者、障害のある方々など、幅広い人々に対して、分かりやすくコミュニケーションを図るためのものです。

特に、訪日外国人観光客の増加や在留外国人の増加にともない、様々な場面で注目を集めるようになりました。

やさしい日本語の外国人ニーズ

外国人の言語ニーズについて、以下の調査結果が示しています。生活に必要な日本語に関する調査によれば、約63%の外国人が「日本語」を「日常生活に必要な言語」と回答し、これは「英語」を選んだ外国人の44%を大きく上回っています。法務省の調査でも、外国人の約80%以上が日本語でコミュニケーションができると回答しています。さらに、東京都国際交流委員会の調査では、「希望する情報発信言語」として、「やさしい日本語」を選んだ人が76%で最も多く、「英語」が68%、「日本語」が22%でした。その他、「機械翻訳された母国語」が12%、「非ネイティブが訳した母国語」が10%と、やさしい日本語に対する需要が高いことが示されています。

(出典)『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』文化庁

一方で、やさしい日本語の推進だけでなく、多言語での情報提供や外国人向けの日本語学習の機会確保も重要です。コミュニケーションの際には、やさしい日本語を使用し、複雑な情報伝達には多言語資料を活用するなど、柔軟なアプローチが求められます。

やさしい日本語の日本人の認知度

続いて、やさしい日本語についての認知度を見てみましょう。

以下のグラフからもわかるように、日本人の「やさしい日本語」の認知度はわずか36.8%と非常に低い数字となっています。外国人との円滑なコミュニケーションや異文化理解を深めるためには、やはり外国人にとって理解しやすい「やさしい日本語」を意識することが必要です。英語を話せるようになるためには約3000時間ほどが必要といわれていますが、やさしい日本語は少しのコツをつかめば簡単に使うことができます。今後、外国人観光客や労働者の増加に伴い「やさしい日本語」の認知度の拡大は必要不可欠になってくると考えられます。

(出典)東京都多文化共生ポータルサイト「やさしい日本語」調査報告書

やさしい日本語の自治体の取り組み

山口県
山口県では、山口県国際交流協会と連携し、やさしい日本語の普及啓発に向け、「やさしい日本語講座」を実施しています。

(参考)多文化共生・やさしい日本語を使ってみませんか? – 山口県ホームページ

大阪府大阪市
大阪市では、「やさしい日本語を使ったお知らせを集めたページ」を公開し、生野区では、『やさしい日本語「話します」ロゴ』『やさしい日本語「話してください」ロゴ』を展開しています。

(参考)大阪市:「やさしい日本語」で話してみませんか? (…>多文化共生>やさしい日本語によるお知らせ)

やさしい日本語のつくり方

やさしい日本語は、短い文と単純な文法で構成されており、よく使われる単語やフレーズが中心です。また、話し言葉に焦点を当てることで、外国人がすぐに使える日常会話力を身につけることができます。

やさしい日本語をつくるコツ・ポイント

伝える情報を選択し、必要に応じて補足説明をする
全ての情報を伝えようと情報を詰め込みすぎるのではなく、伝えるべきことは何かを考えて相手にとって必要な情報に絞る。

一つの文を短くし、簡単な構造にする
主語と動詞を明確にして一つ一つの文を短くする。
「○○なので、○○です。」→「○○です。つまり、○○です。」

難しい言葉は、簡単な語彙に言い換える。または、ことばの後に説明を加える。
「空気洗浄機」→「空気をきれいにする機械」

文末はなるべく統一する
「です」「ます」形にする

カタカナや外来語を使わない
発音や意味が原語と異なる場合があるの で、カタカナ外来語はなるべく使わない、 ローマ字はなるべく使わない。
「アルバイト」➡「おしごと」

その他
・元号(平成・昭和等)は西暦にする。
・「H25/5/7」→「2015年 (ねん) 5月 (がつ) 7日 (にち) 」
・時間は12時間表示にする 「19時30分」➡「午後(ごご) 7時(じ) 30分 (ふん) 」

「やさしい日本語」で伝える内容は相手によって異なるため、「やさしい日本語」には決まった型が存在しません。個々の日本語能力や日本の文化、習慣、地理、社会に関する知識が異なるため、相手に必要な情報を考慮しながら伝えることが重要です。会話で伝えるときは、身振り手振りで示したり、ゆっくりと明瞭に話します。文字で伝える際には、読みやすい書体を選びます。さらに、絵や写真、図表を使ったり、実物を見せることで理解が深まることがあります。

やさしい日本語とは、具体例や作り方を解説

やさしい日本語の具体例

やさしい日本語の具体例

<具体例①>

【普通の堅い文】

熱中症は、高温環境下で長時間過ごすことによって、体温調節がうまく機能せず、体温が上昇して起こる症状です。予防策としては、水分補給を適切に行い、適度な休憩を取ることが重要です。高齢者や幼児、持病を抱える人は熱中症のリスクが高くなるため、特に注意が必要です。

【やさしい日本語】

熱中症は、暑いところに長い時間いると、体の温度が上がって、具合が悪くなることです。熱中症を防ぐために、水分をこまめに飲んで、休憩をたくさん取りましょう。お年寄りや小さな子ども、病気のある人は、熱中症になりやすいので、特に気を付けましょう。

<具体例②>

【普通の堅い文】

職場でのコミュニケーションは、円滑な業務運営やチームワークの向上に不可欠です。適切なコミュニケーションを行うためには、相手の意見を尊重し、効果的なフィードバックを提供することが重要です。また、職場内の情報共有を積極的に行い、コミュニケーションの障壁を減らすことが求められます。

【やさしい日本語】

職場での話し合いは、仕事がスムーズに進むためやチームの仲良くなるために大切です。上手な話し方をするためには、相手の意見を大切にし、役立つアドバイスを伝えましょう。そして、職場での情報をみんなで共有することで、話しにくい雰囲気をなくしましょう。

やさしい日本語の利用シーンと効果

仕事場でのコミュニケーション

やさしい日本語を使うことで、外国人労働者と円滑なコミュニケーションが可能になります。例えば、専門用語を簡単な言葉に置き換えたり、指示や説明をシンプルに伝えることで、仕事の効率やチームワークが向上します。

学校や教育現場での指導

外国人生徒に対しても、やさしい日本語を使って授業を行うことで、理解が進みやすくなります。また、日本語が母国語でない保護者とのコミュニケーションも円滑になり、子どもたちの学習環境を向上させることができます。

観光やイベントでの案内

観光地やイベントでの案内や説明も、やさしい日本語を活用することで、外国人にも分かりやすくなります。これにより、外国人観光客が日本の魅力をより深く感じることができ、リピーター客の増加につながります。

やさしい日本語の学び方

最後は、「サイトで学習する方法」と「日本語学習者と交流する機会を増やす方法」を紹介します。

サイトで学習

以下に「やさしい日本語」で書かれたサイトのリンクを張っておきます。こちらの文章を参考にしながら自分でも「やさしい日本語」を使ってみるトレーニングをしてみましょう。

NHK NEWS WEB EASY・やさしい日本語のニュース

優しい日本語‐MATCHA

YOLO JAPAN「やさしい日本語コラム」

日本語学習者と交流する機会を増やす方法

やさしい日本語を実践するためには、日本語学習者との交流が不可欠です。外国人との交流会や異文化イベントに参加し、実際にやさしい日本語を使ってコミュニケーションをとることで、スキルを磨くことができます。
ボランティアや地域活動への参加
外国人支援のボランティア活動や地域活動に参加することで、やさしい日本語の実践の場を増やすことができます。これにより、外国人とのつながりが深まり、相互理解が促進されます。

やさしい日本語を学習するためのコツと方法

まとめ

やさしい日本語の活用は、外国人とのコミュニケーションを円滑にし、互いの文化理解を進める効果があります。仕事場や教育現場、観光やイベントなど、さまざまなシーンで使われるやさしい日本語は、外国人にとって安心感を与え、日本での滞在をより快適にします。

また、日本人にとっても、やさしい日本語を学ぶことは、異文化理解の向上や国際社会での人間関係の構築に役立ちます。語学教育機関やオンライン教材、ボランティア活動や地域活動など、多様な方法で学んで、実践の場を増やしましょう。

これからますます国際化が進む日本で、やさしい日本語を活用して、外国人との関係をより良いものにし、異文化間の理解を促進する取り組みが求められます。日本人として、外国人を支援し、共に成長する社会を築くために、やさしい日本語の活用を積極的に進めていきましょう。

外国人採用ならヨロワーク

外国人材の採用は、ビザの制度や手続き、外国人特有の採用方法、職場への受け入れなど、初めての場合はわからないことが多くて不安ではないでしょうか?

ヨロワークは2,400社以上の導入実績があり、専門スタッフが求人掲載から応募、面接までのサポートも行っているため、初めて外国人を採用する方も安心してお任せいただけます。


まずは資料をご覧になりたい方は、下のボタンからご連絡ください。


関連記事

TOP