清掃業界での外国人採用の方法!メリットや在留資格について解説

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加地 志帆 /外国人実習雇用士

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日本では人材不足が深刻化しており、国が力を挙げて外国人採用を積極的に推奨しています。そこで、清掃業界においての、外国人を採用する利点や、適切な在留資格について解説していきます。

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清掃業界の現状

日本の清掃業界は、ビルメンテナンス業界の一部であり、ビル清掃・メンテナンス業界全体の市場環境は良好であると言われています。ただし、ビル清掃・メンテナンス業界においては、人手不足が深刻な問題となっています。

市場環境は2019年に引き続き良好であり、清掃およびメンテナンスの需要が安定しています。しかし、受注価格の低下が続いており、これがビルメンテナンス企業に大きな影響を与えています。さらに、最低賃金の低下も業界に悪影響を及ぼしており、労働者の賃金水準に対する課題が浮き彫りになっています。

また、業界内で若年層およびマネジメント層の確保と育成が課題とされています。技術の発展により、ビル清掃の業務効率が向上している一方で、経験豊富な専門家の不足が問題視されています。

清掃業界全体を見ると、ビル清掃が最も高い売り上げを占め、約60%を占めています。このセグメントでは、技術の進歩により作業プロセスが向上し、清掃の効率性が高まっています。

清掃業界における外国人採用のメリット

清掃業界における外国人採用メリット

ここからは、清掃業界における外国人採用の主なメリットを紹介します。

人材不足の解消

外国人採用の大きな利点の一つは、清掃業界における人材不足の問題を解消できることです。日本の高齢化が進み、労働者数が減少している中、清掃業界も人材不足に悩む企業が増加しています。厚生労働省の報告によれば、ビルクリーニング分野では人材確保が難しく、外国人労働力を活用する必要性が強調されています。特に女性や高齢者が多い清掃業界において、外国人の採用は効果的な解決策と言えるでしょう。

新しいビジネスモデルの可能性

外国人を積極的に採用することで、新しいビジネスモデルが生まれやすくなります。外国人は異なる文化や視点を持っており、これが新しいアイデアやアプローチの源となります。ビジネスが順調でない場合、外国人の視点を取り入れて業務フローやビジネスモデルを改善することは有益です。

熱意ある人材の確保

日本に働きに来る外国人は、単にお金を稼ぐだけでなく、技能の習得やキャリアアップを追求することが多いです。熱意ある外国人を採用することで、組織の活性化が期待できます。彼らの熱意がチーム全体に伝われば、日本人従業員にもポジティブな影響を及ぼし、業績向上や業務の効率化に貢献するでしょう。

多言語対応が可能

外国人採用には、多言語対応が可能になるという重要な利点があります。外国人従業員が多言語でコミュニケーションを取ることができれば、外国顧客や取引先とのコミュニケーションが円滑に行え、ターゲット層を広げやすくなります。また、国内だけでなく海外展開を考える際にも、多言語スキルを持つ従業員は有利です。

清掃業界での外国人雇用の注意点

ビルクリーニング分野で外国人を採用する際には、雇用形態に注意が必要です。ビルクリーニング業界では原則的に直接雇用のみが認められており、派遣雇用は許可されていません。雇用形態を誤ると罰則があるため、注意深く採用プロセスを進める必要があります。

外国人採用時の在留資格とは

在留資格とは出入国管理及び難民認定法(入管法)で認められている、外国人が日本に滞在するための資格です。日本国籍を有していない場合に必要になります。就労が可能なビザを「就労ビザ」と呼んでいますが、ビザ(査証)とは別物です。

ビザは外務省が発行している日本に入国するための許可証で、入国審査が済めば無効となります。在留資格は29種類です。大きく分けると、居住資格と活動資格の2種類になります。

居住資格(身分系ビザ)は、身分または地位に基づく永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の4つです。

活動資格は次の通りです。
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動

清掃業界で採用できるビザの種類

清掃業界で外国人採用で多いのは、「特定技能」と「技能実習」です。また、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の身分系ビザでも外国人を採用することができます。

ここからはそれぞれのビザについて紹介します。

特定技能「ビルクリーニング」

特定技能ビザには様々な種類がありますが、ビルクリーニング分野で外国人を採用する際に必要なのは「特定技能1号」のビルクリーニング在留資格です。この特定技能ビザは、特定の分野での外国人労働を可能にするもので、ビルクリーニング分野で働く際には必須となります。

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技能実習「ビルクリーニング」

技能実習は、開発途上国の発展支援を主な目的とした制度です。この制度を通じて、ビルクリーニング技能を学びながら働く外国からの実習生を受け入れることができます。

技能実習は1号から3号までの区分があり、それぞれ留学資格の期限が異なります。1号は最大1年、2号になると最大3年、3号は最大5年まで滞在できます。

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この記事では、ビルクリーニング技能実習の現状と、技能実習1号および2号の仕事内容について詳しく解説します。さらに、外国人材を受け入れる方法と、ビルクリーニング業界で外国人を受け入れる際のメリットについてもご紹介します。

身分系ビザ(永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等)

身分系ビザ(永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等)を持つ外国人には、日本での活動に制限がありません。つまり、職種や業種に関する就労制限はありません。

そのため、清掃業での就労も採用も自由に行うことができます。

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永住者とは、10年以上日本に滞在し、法務大臣の永住許可を得ている外国人。一般永住者・特別永住者どちらも就労制限はなく日本人同様に就労できます。はじめての外国人採用入門編として雇用しやすいです。
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この記事では、宿泊業界(ホテル・旅館)の人手不足の現状や要因、外国人雇用の可能性や方法について詳しく紹介します。

まとめ

日本の清掃業界は好調な市場環境にありながら、人手不足が深刻な問題となっています。市場環境は良好であるものの、受注価格の低下や最低賃金の問題が存在し、若年層とマネジメント層の確保が課題とされています。

外国人採用は人材不足の解消に有益であり、新しいビジネスモデルの可能性を広げる一因となります。また、外国人は多言語対応が可能であり、国内外の顧客とのコミュニケーションを円滑に行えます。

特定技能「ビルクリーニング」や技能実習「ビルクリーニング」ビザ、身分系ビザ(永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等)を活用して外国人を採用することで、清掃業界の人材不足に対処していくことが重要でしょう。

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