外国人労働者も日本人の労働者と同様に雇用保険や社会保険の対象になり、技能実習や特定技能の外国人も例外ではありません。また、技能実習・特定技能の外国人専用の任意保険もあり、企業側に正しい知識が求められます。そこで、技能実習・特定技能の任意保険や、保険加入の際に注意すべきポイントなどについて詳しくご紹介しましょう。
技能実習・特定技能外国人が加入する義務がある保険
技能実習・特定技能外国人は、外国人であっても日本人の従業員と同様に労働基準法上の「労働者」となります。そのため、技能実習・特定技能いずれも保険に加入することが義務付けられています。また、公的に義務付けられている保険だけでなく、任意加入が推奨されている保険もあります。技能実習・特定技能外国人に義務付けられている保険は、以下の4つになります。
国民健康保険・健康保険
国民健康保険・健康保険は病気やケガ、出産などに適用される保険で、技能実習・特定技能外国人は必ず加入しなければなりません。「市区町」によって運営されているものと、「国民健康保険組合」によって運営されているものの2種類があります。講習期間中は国民健康保険に加入して保険料も技能実習・特定技能外国人が負担しなければなりませんが、講習期間が終了したら健康保険に切り替え、雇用主と技能実習・特定技能外国人が折半で支払います。保険料は、給料から天引きして徴収できます。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した時に適用される保険で、技能実習・特定技能外国人も必ず加入しなければなりません。保険料の支払いは雇用主と技能実習・特定技能外国人の折半で、技能実習・特定技能外国人の負担分は給料から天引きして徴収することができます。
労災保険
労災保険は、通勤を含む業務中のけがや病気、死亡に適用される保険で、技能実習・特定技能外国人も必ず加入しなければなりません。保険料は全額雇用主の負担となります。
厚生年金保険
厚生年金は65歳から年金を受給できるというもので、技能実習・特定技能外国人も加入しなければなりません。保険料は雇用主と技能実習・特定技能外国人の折半で、技能実習・特定技能外国人の負担分は給料から天引きして徴収することができます。一定の基準を満たしていれば、支払った金額の一部が帰国時に返還されます。
![技能実習・特定技能保険の種類](https://www.yolo-japan.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/sales-manager-giving-advice-application-form-document-considering-mortgage-loan-offer-for-car-and-house-insurance-edited.jpg)
技能実習・特定技能外国人に任意加入を推奨している保険
強制加入が義務付けられている保険だけでなく、技能実習・特定技能外国人に任意加入を推奨している保険もあります。公的な保険では補填しきれない部分をカバーすることを目的としており、講習期間から帰国までが保証期間となります。外国人任意保険に関しては民間の保険会社が出しており、補償内容や保険料などはそれぞれの保険会社やプランによって異なります。技能実習・特定技能外国人用の任意保険は、ケガや病気、死亡などの補償があるだけでなく、外国人ならではの補償も付いているのが特徴です。代表的な補償内容としては、次の2つがあげられます。
救援者費用
救援者費用とは、技能実習・特定技能外国人がケガや死亡など命に関わる状態になった場合に、母国から家族を呼び寄せる費用を補償するというものです。健康保険や労災では補償されないため、任意保険に加入していない場合は雇い主が家族を呼び寄せる費用を負担しなければならないこともあります。
日常生活賠償
日常生活賠償は、日常生活において故意ではなく人にケガをさせたり、ものを壊してしまった場合に、賠償金額を保証してくれるというものです。健康保険や労災では補償されないため、任意保険に加入しておくと万が一の時に備えることができます。
技能実習・特定技能外国人の任意保険の注意点
![技能実習・特定技能の任意保険](https://www.yolo-japan.co.jp/wp-content/uploads/2022/12/画像③-3-1024x683.jpg)
任意保険は、技能実習・特定技能外国人が安心して仕事・生活するために心強いものですが、雇用主にとっても加入してもらうことで不慮の事態への不安を軽減することができます。ただし、任意であるため強制的に加入させることは難しく、しっかりと話し合う必要があります。技能実習・特定技能外国人の任意保険の注意点は、次の2つがあげられます。
面談の時に保険加入の意思確認を行う
技能実習・特定技能外国人を面談する際に、任意保険に加入する意思があるかどうかを確認することが大切です。加入の意思がない場合は、何か起きた時に大きな賠償トラブルに発展する可能性もあるため、加入の意思も踏まえ内定を決めるのが賢明です。
保険料を給料から天引きする場合は労使協定を結ぶ
任意保険は、健康保険や雇用保険などのように強制的に給料から天引きすることができません。そのため、任意保険を給料から天引きするためには、技能実習・特定技能外国人の代表と雇用主が労使協定を結ぶ必要があります。協定を結んだことは書面で残さなければなりませんが、労働基準監督署に届ける必要はありません。
![技能実習・特定技能の任意保険への加入](https://www.yolo-japan.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/i-think-it-would-be-great-for-us-to-sign-this-contract-edited.jpg)
技能実習・特定技能外国人は任意保険に加入すると雇用主の負担が軽くなる
技能実習・特定技能外国人に任意保険に加入する義務はありませんが、未加入の場合は大きな事故などで危篤状態に陥った時など、母国から家族を呼び寄せる費用を雇用主が負担しなければならないこともあります。技能実習・特定技能外国人にとってもメリットのある保険なので、事前にしっかりと説明して加入してもらうようにしましょう。