外国人雇用の流れ~日本国内にいる外国人を採用する方法~

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加地 志帆 /外国人実習雇用士

外国人実習雇用士の資格を取得し、企業が外国人採用をスムーズに進められるように外国人採用プロセスの支援、異文化理解を促進する情報を発信しています。

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日本国内にいる外国人を採用する理由

なぜ、日本企業は、日本国内にいる外国人を採用するのでしょうか?日本企業が海外にいる外国人を雇用する理由はさまざまですが、まずはその主な理由をいくつか紹介していきます。

人手不足の解消のため

日本国内では、少子高齢化による労働力の減少がほとんどの業界や職種で深刻化しています。この人手不足を解消するため、海外に住む外国人を日本に招聘し雇用することがあります。

海外にいる外国人を採用する際の雇用の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

外国人雇用の流れ~海外にいる外国人を採用する方法~ | 外国人採用 | ヨロワーク
この記事では「海外にいる外国人を雇用する方法」について詳しく説明していきます。

インバウンド(訪日外国人観光客)への対応のため

2023年以降、インバウンド需要が急速に回復していますが、訪日外国人観光客への適切な対応が難しいという問題が浮上しています。そのため、外国語を話すスタッフを海外から直接雇用し、観光業界やサービス業における外国人顧客への対応力向上に注力しています。

海外展開のための人材確保のため

日本企業が海外で新たなビジネスを展開する際、現地市場や文化に詳しい外国人スタッフの採用が成功の鍵となります。そのため、海外展開先の国から有能な人材を事前に採用し、日本国内に招聘するケースも増えています。

専門的な知識を持つ人材を採用するため

特定の分野や技術で、国内の専門家が不足している場合、外国人スタッフを雇用することで、専門的な知識やスキルを補うことができます。例えば、ITエンジニアや料理人などもこの理由に該当します。

海外にいる外国人と日本国内にいる外国人の採用のメリット・デメリット

ここからは、海外にいる外国人と日本国内にいる外国人の採用におけるメリット・デメリットを表を用いて紹介します。はじめて外国人の採用を検討している方は、こちらの表を採用活動にお役立てください。

海外にいる外国人日本国内にいる外国人
メリット・日本国内にいない優秀な若手人材を確保できる
・地方企業でも採用の可能性が高まる
・採用までの期間が短い
・日本国内での生活経験がある
・日本で生活するだけの日本語力がある
デメリット・金銭的な採用コストが高くなる
・入社までの時間がかかる
・来日前後の生活サポートが必要になる
・採用競争が激しい

日本国内にいる外国人を雇用する流れ

ここからは、日本国内にいる外国人を雇用する流れを具体的に紹介していきます。海外にいる外国人を雇用する場合と比べて、少ないステップで採用することが可能です。

ほとんどの場合、日本人の採用ステップとそこまで大きくは変わりません。

採用の目的を決める

最初に、外国人を雇用する目的を明確にする必要があります。

採用の目的は、国際展開、特定の専門知識やスキルの獲得、多文化環境でのチーム構築など、さまざまなものが考えられます。目的を明確にすることで、適切な候補者を見つけるための方向性を確立できます。

採用目的に適した人材を募集する

次に、採用目的に合った人材を募集するプロセスが始まります。

求人広告の作成、求人情報の配信、国際的な求人サイトやネットワークを活用して候補者を見つけるなど、様々な方法があります。

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面談・面接を実施する

適切な候補者を見つけたら、面談や面接を実施して評価を行います。面談や面接の過程で、候補者のスキルや経験を詳しく探り、採用目的に合致しているかどうかを確認します。

この際に日本人の採用と異なり重要になるのが、在留カードのチェックです。
在留カードとは、外国人が日本で3ヶ月以上滞在する際に携帯義務がある身分証明書です。このカードは、法務省出入国在留管理庁から発行され、氏名、国籍、住所、在留資格、在留期間などの情報が記載されています。

しかし、近年では、偽造在留カードが増加しており、不法滞在や不法就労が増えています。そのため、外国人雇用をする企業は、個の在留カートの見極めがとても重要になります。

なぜ外国人の不法滞在やオーバーステイが起きるのか?その原因と対策を紹介 | 外国人採用 | ヨロワーク
外国人が不法滞在してしまう原因として、母国で働くよりも高い賃金を得るため、母国に仕送りするためなど様々な理由が挙げられます。不法滞在が発覚した場合、出国命令による出国あるいは、強制送還の措置を取られ、強制送還後5年が経過しても、ビザを取得し...
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雇用契約を締結する

最終的に、選ばれた候補者と雇用契約を締結します。契約内容は雇用条件や給与、労働時間、福利厚生などを含みます。雇用契約の際には、法的な規定を遵守し、労働法やビザの要件などに従って手続きを行う必要があります。

【採用パターン別】雇用形態に応じた対応と注意点

日本国内にいる外国人を採用する際、さまざまな注意点がありますが、最後は、様々なパターン別での注意点を紹介していきます。

外国人留学生をアルバイトで採用する場合

外国人留学生をアルバイトで採用する場合の注意点を紹介します。

(1)資格外活動許可の確認
留学生をアルバイトとして雇用するには、資格外活動許可が必要です。この許可を得ている場合のみ、アルバイトとして採用できます。資格外活動許可の有無は、留学生の在留カードの裏面に記載されていますので、確認してください。

資格外活動許可とは?要件や種類、申請方法、許可がなくても働けるケースを分かりやすく解説 | 外国人採用 | ヨロワーク
この記事では、資格外活動許可について詳しく解説します。まず、「資格外活動許可とは」という基本的な部分から始めましょう。その後、申請対象者や要件、申請方法、種類、そして注意点に至るまで詳細に説明します。

(2)就労時間制限
資格外活動許可を受けている外国人留学生であれば、学業を妨げない範囲内でアルバイトが許可されています。週に最大28時間(残業時間を含む)までの就労が可能です。ただし、学校の長期休暇期間には制限が緩和され、1日最大8時間、週に最大40時間までアルバイトができます。

(3)風俗営業の制限
風俗営業に関連する職種でのアルバイトは留学生には許可されていません。これには、パチンコ店、バー、ホステスがいる飲食店などが含まれます。留学生がこのような職種でアルバイトを行うと、不法就労として処罰される可能性があるため、絶対に避けるべきです。

外国人を正社員で採用する場合

外国人を正社員で採用する場合は、新卒か転職か、また、在留資格の変更が必要か否かなど、注意点がありますので、それぞれのパターンに合わせてご確認ください。

新卒採用を検討中の方はこちらの記事をご覧ください。

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身分系ビザ(永定配)を持つ外国人を採用する場合

身分系ビザ(身分系在留資格)とは、外国人の身分に応じて交付される在留資格のことです。

身分系ビザ(身分系在留資格)を持つ外国人は、日本国内で自由に働くことが許されており、どのような職種でも働くことができます。つまり、日本人と同様の働き方をしてもらうことができます。

(1)永住者
(2)日本人の配偶者等
(3)永住者の配偶者等
(4)定住者

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永住者とは、10年以上日本に滞在し、法務大臣の永住許可を得ている外国人。一般永住者・特別永住者どちらも就労制限はなく日本人同様に就労できます。はじめての外国人採用入門編として雇用しやすいです。
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「特定技能」として外国人を採用する場合

特定技能で外国人を採用する場合、「12分野14業種」の仕事に従事することができ、海外から外国人を呼ぶ場合は、決められた試験に合格する必要があります。

1.介護
2.ビルクリーニング業
3.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
4.建設業
5.造船・舶用工業
6.自動車整備業
7.航空業
8.宿泊業
9.農業
10.漁業
11.飲食料品製造業
12.外食業

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就労が認められない在留資格

就労が認められない在留資格としては、「文化活動」「短期滞在」「(資格外活動許可を受けていない)留学」「研修」「(資格外活動許可を受けていない)家族滞在」などがあります。

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